熱環境の観測と評価 熱環境シミュレーション 緑の熱環境緩和と快適性 パッシブデザイン
建築内外で、空気や熱を効果的にコントロールするパッシブデザインについて、環境工学的な見地から研究をしています。
パッシブデザインは、建築的な工夫と外部風や太陽のエネルギーといった自然の力を最大限に生かした建築デザインです。快適かつ健康で、省エネルギーな建築環境を形成するうえで、近年あらためて注目されています。当研究室では、実測調査およびコンピュータシミュレーションにより、地域の気候特性に適したパッシブデザインを探求しています。
住宅の自然換気と夜間蓄冷を活用したパッシブクーリング
夏場に”ひんやり”とした室内環境を形成するうえで、パッシブクーリングは有効です。当研究室では、夜間の外気導入を行う自然換気により床面や建物躯体に蓄冷を行い、日中にも涼しい室内環境を創出する方法を研究しています。特に、PCM(潜熱蓄熱材)の導入による潜熱蓄冷の技術に注目をしています。
自然換気や通風にとっては、窓を開けたときに、どのような空気と熱の流れになるのかが重要です。それらを、各種の計測技術やCFD(数値流体力学)シミュレーションにより研究しています。右側の動画は、PIV(粒子画像流速測定法)という技術により、夜間外気導入のための地窓から流入風の挙動を可視化したものです。
コンピュータシミュレーションによるパッシブデザインの最適化
コンピュータシミュレーションを使用することのメリットは、様々な対策技術の組み合わせの効果を短時間で効率的に実施できることです。当研究室では、各種のパッシブクーリング技術(日射遮蔽、日射反射、自然換気・夜間換気、蓄熱・蓄冷、緑化、蒸発冷却、放射冷却)の最適な組み合わせを、地域の気候特性を踏まえて最適化する研究を行っています。
蒸暑地域のインドネシアにおける集合住宅のパッシブクーリング
蒸暑地域であるインドネシアでは、住民は室内や半屋外空間である共有廊下などを様々利用しながら生活をしています。そのようなインドネシアの気候特性やライフスタイル、文化的特性を踏まえて、集合住宅の効果的なパッシブクーリング技術を研究しています。最終的には、パッシブデザインによる集合住宅の設計ガイドラインの開発を目標としています。