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2019年5月16日

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メッセージ

 当研究室の研究スタンスをご理解いただくために、メッセージを記しました。

 まず大前提として、研究は楽しく前向きに行うものと考えています。ですので、そのような志向の学生さんに、ぜひとも進学していただきたいと思っています。ただ、大学院教員として、少しだけ、次のような問いを投げかけたいと思います。

 大学院に進学する目的は何でしょうか? 大学卒業後の2年間、(高い学費を払って)さらに勉強や研究を続けてゆくことで、得られるものは何でしょうか? おそらく、ただ漠然と2年間を過ごしただけでは、大学で卒業するのと大きな違いは生まれないでしょう。大学を卒業するだけでも、就職等では十分なことは多いと思います。その2年間に大きな違いを生み出して社会に羽ばたくには、高い意識を持って進学することと、それを継続してゆくことの両方が必要です。大学と大学院の決定的な違いは、教育と研究だと思っています。つまり、大学は専門的な教育を受ける場所で、大学院は専門的な研究をする場所です。教育とは、教育機関が与えるレールに従って授業などを受講してゆけば(そして試験をクリアすれば)、知識が得られ、教育課程を修了(卒業)することができます。その際に、教育する側は基本的に答えがある前提で教えますし、テキストには答えが書いてありますので、それを習得してゆくことになります。一方、研究とは、未知への挑戦です。研究者が既に知っている知識や知見を習得するだけでは、新たな研究成果は得られません。まだ他の研究者が分かっていない、または証明できていない知見を導き出したり、新しい技術や手法を開発してゆくことが研究です。大学院生を指導している教授陣も、もちろん答えを知りません。皆さんは、答えが無い問題に対して、諦めることなく追及することができるでしょうか?

 未知への挑戦とは若干大げさに書きましたが、一歩でも良いので、これまでの研究を前に進めてゆくことです。大学院の修士課程は2年間しかありませんので、2年間で、その一端でも実現してほしいと思っています。また大学院では、学会に(できれば査読付論文、Peer-reviewed paperで)成果発表できることが要求されることになります。2年間は本当に短いので、我々教員も全力で指導をしますし、研究室の先輩達からも多くのサポートを受けられるでしょう。まずは研究室で蓄積してきた知識やノウハウをベースに、研究もスタートします。ただ、自分の研究であれば、新しい知見は自分で獲得しないといけません。そのためには、冒頭に書いたように、高い意識を持って進学してくることに加えて、それを継続して努力してゆくことの両方が必要と考えます。

 継続して努力を続けてゆくことは、言葉では言うことは簡単ですが、実際には難しいものです。自らの中に“エンジン”がないと続けられません。船に例えれば、風が無いと動かない帆船ではなく、エンジンで推進力を得る汽船です。時には、風に逆らっても、暗い夜の航路でも(答えが見つからなくても)、前に前にと進む必要があります。大学院の研究では、このエンジンを働かせて、研究を推進しなければなりませんが、そのことができるでしょうか?

 もしそのことができれば、得られた経験は、必ずや皆さんの将来の礎となるでしょう。そして、(高い学費を払っても)大学院に進学して良かったと、心から実感できることでしょう。

もちろん、冒頭に書いたように、楽しく前向きに取り組むことが、大前提です!

浅輪 貴史